こんにちは、チャタローです。
今回はあるグレーゾーンのお子さんの事を例に、グレーゾーン、ADHD、ASDのことについてお話しようと思います。
今回紹介するお子さんの事例は、私の友人から、ぜひブログとして取り上げてほしいと希望があり、
許可を得て書いております。
まずは友人の紹介をします。彼女は私と同い年の40代の全盲のシングルマザーです。
ちょうどお子さんが小学校に入学する年の時に、ご主人が急に彼女とお子さんを置いて出て行ってしまい、後々、両家の家族と協議のもと離婚することとなりました。
今は実家のご両親と一緒に暮らしながら、お仕事と育児を両立している、立派なお母さんです。
ちなみに彼女もアメブロでブログをやっていますので、もし良かったら、こちらも読んでみてください。
全盲ママがスマホの読みあげ機能を使いこなしながら書き綴っている、面白いことから苦労した話まで、
喜怒哀楽が一杯詰まったブログです。
ADHDとASDと診断された息子
ここまですでに色んな受難を乗り越えてきた全盲ママに、ある日さらなる試練が訪れました。
お子さんにADHD,ASDの診断がついたのです。
そこに至るまでのお話をまとめました。
ADHD、ASD、チックについて
ADHD、ASD、チックについてザックリ解説します。
ADHD(注意欠如多動症)の特徴
・不注意→忘れ物の多発、集中力の欠如など。
・多動性、衝動性→後先考えず行動してしまったり、思った事を善悪関係なくそのまま発言してしまう。
・自己肯定力が低い→繊細で傷つきやすいので、強く叱るとひどく落ち込んでしまうので、対応が少し難しい。
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴
・他人とのコミュニケーションが苦手→集団行動が苦手。一人でいることを好む。
・感覚過敏→特定の音が苦手(聴覚過敏)、少しでも濡れたり汚れるのが嫌(感覚過敏)、決まったものしか食べない(偏食)など。
・変化が苦手→行動の順序、物の置き場所などの変化が極端に苦手。場合によってはパニックを起こすことも。
ADHD、ASDには、言語障害や学習障害など知的障害を伴う場合も多いです。
チック症の特徴
・運動チック→まばたきを極端に繰り返す、首を振るなど無意識に体の一部を繰り返し動かしてしまう。
・音声チック→咳払い、鼻をすする、奇声など無意識に繰り返してしまう。会話中にも発生する。
ADHDやASDの人にこの症状が現れることが多い。いずれの場合も、程度がひどいと本人や周りの人の生活に支障をきたすことも。
通級教室、コーディネーター、ソーシャルワーカーとは?
通級教室とは?
通級教室は通常学級に在籍するお子さんで、例えば学習についていけなかったり、読み書きなど特定の分野にだけ苦手があったり、不注意により忘れ物が極端に多いなど、学校生活で少々難を抱えている児童を特別に指導する教室です。特別支援学級との違いについてはこちらの記事でも紹介しています。
学校の中のコーディネーターとは?
最近の学校ではコーディネーターという役割の人を配置していることが多く、お子さんが学校生活で困っていることなどを、お子さん本人や保護者から相談を受け、お子さん、保護者、担任の先生、校外の関係機関などと連携して必要に応じたサポートをする人です。
ソーシャルワーカーとは?
老若男女問わず、学校生活や日常生活など、支援が必要な人の相談を受けて、必要に応じて病院や介護施設などを紹介したり、解決に導くお手伝いをしてくれる社会福祉士や精神保健福祉士、ケアマネージャーなどの人々の総称です。
グレーゾーンなのか、本当に発達障害なのか…
ADHDとASDと診断された日、お母さんはとてもショックを受けていました。
私も信じられませんでした。
私は息子さんを小さい頃から良く知っていますが、多少困りごとはあっても、診断がつくほどのものとは思っていませんでした。
彼は普通に友達同士で出かけるし、LINEもしているし、オンラインゲームで遊んだりもしています。
ただ少しだけ普通のお子さんに比べて、苦手なことが多いだけで、ADHDだASDだと言うにはいささか疑問に思います。
私はもっと重い自閉症の息子や妹を見てきているので、ちょっと言葉が悪いかもしれませんが「それだけで診断がついちゃうものなの?」と思ってしまいました。
その子は今まで色んな療育機関にも通っていましたが、他のお子さん達より出来る事が多かったので、周りのお母さんたちから「なんでここに通っているの?」と聞かれるほどだったそうです。私も同じように思っていました。
現状の彼の状態について家族や先生が心配している内容を具体的にまとめてみます。
チックについては何か原因があってのことなので、原因究明する必要はありますが、正直チック以外の項目についてはADHDやASDというより、他のお子さんでもよくある困り事なんじゃないかなと思います。
あくまで私の個人的な見解ではありますが、彼は限りなく健常児に近いグレーゾーンではないかと思っています。
発達障害の「グレーゾーン」とは、特性や傾向はあるものの、発達障害と診断されるには至らない状態を指す言葉です。
知ってほしい 発達障害の「グレーゾーン」 | ニュース特集 | NHK富山 | NHK
グレーゾーンと発達障害の境界線についてわかりやすく図解してくださっているサイトを見つけたので、興味のある方はこちらも非常に参考になると思います。
病院に行くと、それなりの問診があり、当てはまる項目の多い所の診断名がつきます。
でも問診や検査だけでは見えない、普段一緒にいる人しか見えない部分がたくさんあるのも事実です。
一番大事なのは診断よりも、本人のことを正しく理解し、どのようにかかわることが本人と周りにとっていいのかを知ることなので、診断名に振り回されない方がいいです。
診断名は社会生活で不自由を感じた場合に、その人が周りの理解と何らかの支援を得て自分を守るために必要な肩書きに過ぎません。
良いところがたくさんあることも忘れない
問題点ばかりあげてしまいましたが、彼には良いところもたくさんあります。
これは発達障害やグレーゾーンのあるなしに関係なく、私自身も含めてですが、悪いことばかりを直そうと気にかけて、つい良いところにきちんと気づいてほめてあげるのを忘れがちです。
短所は考え方次第で長所になることもあります。
・空気を読まず何でも言ってしまうことは、どんな時でも自分の意見をぶれずに言えているということ。
・落ち着きがなく一か所にいられないのは、それだけ行動力、好奇心があるということ。
・勉強に集中できないということは、勉強以外のやりたいことへの集中力はすごいということ。
・繊細な人は、同じように繊細な人の気持ちに気づき寄り添うことが出来るということ。
ADHDにしろ、ASDにしろ、グレーゾーンにしろ、自分の気持ちに正直で真っ直ぐな子が多いです。
どうしても問題点にばかり一生懸命になりがちですが、良く出来ていることを褒めてあげることも忘れないようにしましょう。
グレーゾーンゆえの悩み
グレーゾーンのお子さんは周りから勘違いされて、苦しむこともあります。
例えばはっきり障害があるとわかっている子が、悪い言葉を発したり、変わった行動をするのと、障害がないと思われている子が同じことをしてしまうのでは、周りの受け取り方が違います。
障害がある子の場合、まあ仕方がないか、そういう人であると受け流される場合が多いですが、障害がないと思われている子の場合、相手とのトラブルになったり、心無いからかいやイジリなどをされる場合もあります。
それゆえ診断をハッキリ受けてしまう方が楽と思う人がいるのも現状です。
グレーゾーンについて正しい理解が広まってほしいです。
グレーゾーンの場合、普通学級と支援学級どちらがよいか
発達障害やグレーゾーンにおいて、この場合はこうするみたいな決まりみたいなものはありません。
ADHDやASDでも普通学級で学べる子はそうしているし、逆にグレーゾーンのお子さんで、本人が普通学級に不安があれば支援学級を選んでいる子もたくさんいます。普通学級と支援学級を行き来して、両方の良いところを自分の特性に合わせてうまく利用しながら学校生活を送って、一般の高校に合格して進学するお子さんもいます。
普通学級の場合
すべての生徒に対して平等に一斉指導という原則があるので、先生も誰か一人を特別扱いするのはどうしても難しくなります。ある程度皆と同じレベルやスピードについていくことを求められるのは避けて通れません。あとはどこまでサポートするかはその先生の考え方次第によります。
支援学級の場合
普通学級よりは一人一人の特性を理解し、気にかけてもらえますが、手取り足取りすべてをサポートしてもらえるわけではない。クラスメイトと助け合いながら、自発的に行動し、自立するための努力は必要。
【支援学級の一般的な授業の進め方】
・個別指導→個人もしくは小グループに分かれて、ある程度その子のレベルに合わせた学習をする。
・一斉指導→全員の平均に合わせた内容での学習になるので、ついていけない子もいる。
うちの息子の支援学級は一斉指導です。
息子は皆の中では少し障害が重い方なので、半分くらいついていけてません。
でも、彼の現在の目標に学習はさほど大事ではないので、本人も親も先生もたいして気にしていません。
彼には学習やテストの結果より、毎日学校に行って、時間割の内容をしっかりこなして、他の皆と協力し合って過ごす力、自分で身の周りの整頓をし、配布物、提出物など自分で管理したり、必要な事を自分で連絡できる力を身に着けてもらうことが一番の目標だと思っているので、学習は本人も親も現状に不満はありません。
診断名がつく、つかないに関係なく、その子のことをしっかり理解したうえで目標を設定して、達成のためにはどうしていくのが最善かを考えて、本人の意志を尊重した学校生活が出来るのが一番ですね。
相手の自尊心を傷つけないフィードバックのしかた
ちょっと話はグレーゾーンの話からそれますが、子供と向き合って話す時に少し役に立つお話です。
私がコールセンターで新人さんを指導するお仕事をしていたころ、先輩から教えてもらったことがあります。
一つ相手の何かを指摘するには、その前に二つ相手のいいところを褒める。
否定的なダメ出しではなく、肯定的な提案をする。
誰にでも自尊心があります。一生懸命頑張っている人が、良いところを認知されず、日ごろの労を労れわれることもなく、いきなりここがダメ、あれがダメと言われれば、気分がいいはずないですよね。
何でもいいので、まずは良いところを見つけて、二つ以上褒めてあげる。
そしてダメとか悪いと言うのではなく、「これをこうしてみたら、もっとこんな風に良くなるかもね」と肯定的な提案をするということです。
シチュエーション的に褒めることが難しくても、肯定的に話すだけで相手に対する伝わり方は全然違います。
例えばお店でほしい物が売り切れている時に、「売り切れました、申し訳ありません。」とただ否定的に言われるよりも「申し訳ありません、そちらは売り切れてしまったのですが、こちらはいかがですか?」と肯定的に代替え案を提案される方が、印象がいいとは思いませんか?
頭ではわかってはいるけど、なかなか実行するのは難しいかもしれませんね。
私も仕事上ではそれを実践していましたが、家族内ではどうかというと正直できていません。
ついダメ出しを先にしてしまいがちで、いつも反省です。
終わりに
ADHD、ASDなどの発達障害とは別に、発達障害にまでは至らないけど、特定の部分だけに困り感やつまづきがあるグレーゾーンと呼ばれている人がいます。そしてそのどちらかに該当するかもしれないけど、気づいていない人もたくさんいます。
いずれにしても診断名を気にするよりも、その人の特性をしっかり理解して、どう対応していくかが大事です。
最後にADHD,ASD,グレーゾーンをよく知る上で、ぜひおすすめしたい本があります。
精神科医の岩瀬利郎先生が書いている『発達障害の人が見ている世界』という本です。
この本の良いところは、発達障害を病気ではなく、あくまで「特性」「脳の個性」というふうに捉えて考えてみる事から始まるところです。そして色んなシチュエーションごとに、特性を持つ人、特性を持つ人と関わる人双方の視点から、その時にどんな風に考えているのか、どんな風に対応したらいいのかをわかりやすくイラスト付きで解説してくれています。
今回は、グレーゾーンのお子さんの実態を知ってもらうためのブログを書きました。
そのモデルとして息子さんの話を提供してくれた友人に感謝します。
全盲ママのブログもぜひ読んでみてくださいね。
同じ悩みを抱える方やそのご家族のために少しでもお役に立てると嬉しいです。
ここまで読んでいいただき、ありがとうございました♪