障がい者支援施設での暮らし(後編)

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施設
この記事で紹介している内容
  • 障がい者支援施設で起こるトラブル
    利用者のパニック行動、利用者同士のトラブル
    ※施設によって内容は様々ですので、たくさんある施設の一部の話ということで参考にしてください。
  • 自閉症の妹が入所した経緯など
チャタロー
チャタロー

こんにちは、チャタローです。今日は妹の施設での暮らしの様子のうち、実際にあったトラブルや困った事についてお話します。
将来入所を考えている方に、少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。

前編では施設の概要、利用料、日々どんなことをしているのかを紹介しています。
よければこちらもご覧ください↓
障がい者支援施設での暮らし(前編)

↓私の自閉症の家族についての詳しい紹介はこちらの記事をご覧ください
私の妹と息子について

※文中で使われている画像はすべてイメージです。施設とは一切関係ありません。

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施設で起こるトラブル

施設で過ごす上で避けて通れないのが、利用者のパニック行動や、利用者同士のトラブル。

私の妹は思いが通らなかった時に、自分自身を激しく叩いたり、人を叩いたりという行動にでることがあります。同じような障がいを持つ利用者は他にもいるので、妹が叩かれる側であることもあります。
こういう場合、もちろんその場にいる職員が仲裁に入りますが、それでも止められずケガをしてしまうということもあります。

障がい者支援施設には色んな障がいの人々が一緒に生活しています。その中で相性の合わない人というのも少なからず居ます。入所をするからには、これは避けては通れない現実です。

私の妹の経験を実例としてお話していきます。

実際あった妹のトラブル

喧嘩

CASE❶ 帰省できなくて…

まだ入所して間もない頃。妹が帰省する日を勘違いして、帰る!とダダをこね、その場にいた利用者を叩く。抑えに行った職員の股間のあたりに、妹のヒザが当たってしまい、恥骨にヒビが入るケガをさせてしまった。
他の利用者さんに危険が及ぶ可能性もあったので、妹はクールダウンするまで部屋に入れられるも、興奮収まらず、ドアのガラス部分をゲンコツで叩き割ってしまい本人も軽いケガ。

CASE❷ 相性が合わなくて…

妹は常に言葉にならない声の繰り返しや、机などをトントン叩いてリズムを刻むなど音を出し続けるタイプの自閉症。利用者の中には、その真逆で聴覚過敏で音を嫌うタイプの自閉症の方もいる。妹が音を出すたびにその方から、叩く、噛みつくなど攻撃され、青あざなど軽いケガ。

CASE❸ 欲しかったから…

妹が帰省から施設に戻る時、我が家では妹に大好物のコーヒーを持たせて帰すのが恒例。
ある日、妹がコーヒーを持ってルンルンと寮の入り口に入っていくと、一人の利用者が妹めがけて飛んできて、力いっぱいコーヒーを奪おうとして、二人の全力の引っ張り合いが始まった。
職員と私たちで止めに入って、特にケガはなかったけど、これは私たち家族もうかつだったな…と反省。その利用者も缶コーヒーが大好きなようで、私たちに甘えてきながら「また今度ね!」と繰り返し訴える。また今度ね!の意味は、きっと今度は私の分も買ってね!という意味なんでしょう。

トラブルがあった場合

ばんそうこう

このように、意思の疎通が難しいゆえ、本人がパニックを起こしたり、利用者同士で喧嘩になってしまったりということは日々あります。職員がいるといはいえ、完全にそれを阻止して、無傷に収めるのが難しい場合もあります。

特にCASE ❷で紹介した「音を出したい」「音を聞きたくない」というような正反対の特性を持つ利用者が同じ屋根の下で暮らしている場合、正直仕方がないことで、職員は可能なかぎり2人の距離が近くなりすぎないよう配慮して、衝突を避けています。

電話

何か起きると、どんな些細な事でも施設から必ず連絡がきて、経緯報告とお詫びをされます。本人が不穏になった時に職員が抑えたときに腕にアザができてしまったということでも連絡がきます。妹は背が高いので、妹より小さい職員が妹を抑えるためには、どうしても二の腕のあたりを捕まえるような体勢になってしまうので、そこがアザになるのはよくあります。本人と周りの方への安全のためなので、私たち家族は全然それで納得しています。

万が一、このようなパニックにより相手へケガを負わせてしまったり、相手の所有物を破損してしまった場合の時のために知的障がい者の方向けの保険もあり、妹も加入しています。

妹が加入している保険について詳しく知りたい方はこちらのリンクをご参照ください。
ぜんち共済株式会社のあんしん保険のホームページ

コロナ禍で会えなくなった三年…

クマ

実はもう三年くらい妹に会えていません。
コロナ以来施設は徹底した感染防止で外出や帰省を中止しました。利用者さん同士の行事も縮小され、感染対策を徹底しています。厳しい対策ではありますが、利用者全員の命を守るためなので、致し方ありません。入所の選択をした場合、こうゆう感染症の流行でしばし会えなくなる事も覚悟しなくてはなりませんね

妹の事は、請求書と一緒に送られてくる施設のおたよりで見たり、担当者さんから来る連絡でご報告を受けています。急になくなってしまった家族との再会を、自閉症の妹がどう思っているのか、どんな気持ちで日々生活しているのか考えると切なくなります。

チャタロー
チャタロー

ちなみに、電話で窓越しに面会などは許されていましたが、うちの妹の場合、帰りたくなって不穏になってしまう可能性が高かったので、帰省が完全に許可されるまで中途半端に会うことはやめることにしました。

2023年6月現在、帰省が許可され始めましたが、施設に戻る時には必ず抗原検査実施の条件もあるので、お盆の帰省実現に向けて準備中です。

入所までの経緯と現在

母、49歳で他界

菊

私の妹が入所したのは21歳の頃。
母が49歳の若さで末期の胃がんで亡くなったのを機に、現在の障がい者支援施設に入所しました。
それまでは家から送迎バスで市内の通所施設に通い、簡単な軽作業の手伝いなどをしていました。

母は亡くなる寸前まで妹を施設に入れるのを「お願いだから、待って」と頑なに拒んでいました。母は入院時点ですでに余命数か月の状態でしたが、私も父もそのことは母に言えずにいました。ほんの数パーセントでも、母が生き長らえる希望を捨てたくなかったからです。

その頃の私はそんな母に対して、「妹のことより、まずは現状を考えてよ!」なんて思っていました。当時は父も私もまだバリバリ働いていて、母の見舞いもして、妹のお世話をしながら仕事と両立するのはとても大変で、遠くに住んでいる母の姉が毎日家まで通って助けてくれている状態でした。
でも今となっては、自分も障がい児の親になってみて、その時の母の気持ちが痛いほどわかります。

役所で入所先を探してもらい…

サーチ

母が亡くなってから、父が忙しい合間を縫って、市内の役所に妹の入所先探しの相談に行きました。
障がい者支援施設は常に入所希望者が多く、どこも満杯ですぐには入れないところが多いのが現状です。

相談を受けてくれた役所の方がとても親身な方で、市内にすぐ入所できる施設がないのがわかると、隣接する市の施設に空きがないか調べてくれたのです。

すると、隣の市にちょうど新しくオープンする施設が見つかり、すぐに見学の予約をしました。早めに応募出来たことと、母がいない家庭環境も考慮されて、そこに入所することが出来ました。

入所後の妹は

ずっと母に甘えてばかり、家では好き放題していた妹が、果たして慣れない仲間と、慣れない環境でルールを守って過ごすことができるのか心配でした。きっと入所数日で情緒を乱して、施設から連絡がくるに違いないと思っていましたが、意外にも妹はそこでの暮らしをすんなり受け入れました。
母が亡くなって、妹なりに何かを悟って、理解していたのかもしれません。

この三年くらいはコロナで会えていませんが、妹は帰省できる日をとっても楽しみにしています。父親のことが大好きで、帰省すると父にコーヒーを買ってもらって、大好きな音楽を聴きながら、父の車の助手席に座ってドライブに出かけるのが帰省の一番の楽しみです。

そんな妹ですが、お盆や正月などで2、3泊の長期の帰省の時などは、逆に施設に帰りたそうにしてる時もあります。もはや家より施設での暮らしの長い妹ですから、実家もいいけど、施設に自分の暮らしが確立してるのだろうなと感じています。

わが子が一人になった場合の未来を考えておく

自閉症の子を親の手から離すのは、本当に心配で簡単に決断はできないかもしれません。
病床の母もそうだったし、私自身も息子をできれば入所させず、できるだけ一緒に暮らしたいと願っています。

家は母の死を機に妹の入所の決断をしましたが、本人がいざ誰も面倒をみてくれる人がいなくなった場合の時を考えると、家族が動ける内に、支援施設入所やグループホームへ入所して、家族がいなくなろうとも生きていける環境を早めに用意するのも、本人のためなのかなと考えることもあります。

チャタロー
チャタロー

現状は入所に一切興味はないという場合も、万が一自分や家族が子供の面倒を見れなくなった時のイメージやプランだけでも考えておきましょう。お子さんの知的障がいの程度や本人の意志や希望次第では、入所以外の選択肢もあります。

寄宿舎や短期入所の利用で練習

高校からはあえて寄宿舎つきの支援学校に入学させて自立訓練する方も結構多いです。実際に寄宿舎を利用しているお子さんの保護者さんからは、
「家では全然しなかった身の周りのことを、施設ではちゃんとやっているって聞いてビックリ!」「寮で仲のいい友達が出来たようで楽しそう」「前より大人になった感じがする」
など、プラスな話をよく聞きます。家にいれば、何でもつい親が手伝ってしまったりしがちで、お子さんの真の実力を引き出しきれてないのかもしれません。子供の自立の訓練にもなるし、私のような心配性な親の子離れ訓練にもなりそうですね(笑)

短期入所を利用することで、お子さんに入所体験させてみるという方もいます。短期入所の利用には、お住いの地域の役所へ福祉サービス利用の申し込みと、サービスを利用したい施設との契約が事前に必要となります。(地域によって手続きは異なる場合があります)

子供と将来のことを話してみる

可能であれば、お子さんと、万が一家族に何かあって一緒に暮らせなくなった場合の話をしておくのもありだと思います。

わかれ道

うちの息子は、私の妹の施設に行って生活の様子を見たことがあるので、その生活を例に挙げて、いざ家族が息子と一緒に暮らせなくなったら、妹のように施設で暮らすこともあるかもしれないねという話をしています。でもそれはあくまで選択肢のひとつ。息子が一生懸命頑張って、生活に必要なスキルをある程度身に着ければ、一人暮らしも夢ではないよという話もしています。

終わりに

入所を考える場合には、すぐには空きが見つからない可能性があるので、早めに情報集めに動いておきましょう。知的障がいのあるお子さんが一人になった時のために、本人がどうしたいのか、私たち家族が生きているうちに何をしてあげられるかを考えておきましょう。

入所を考えている場合には…
  • 入所できる施設の情報を集める
    お住いの地域の役所の障がい者担当の窓口に相談してみる。

    ・デイサービスなど利用中の場合、そこの所長さんや職員さんに相談してみると、
     情報を持っている事もあり。

    ・自治体によっては、障がい者支援施設の所在や情報を集めた資料を作成して、
     学校や関係機関に配布しているところもある。

    ・気になる入所先があれば、ネットで検索してみる。最近はホームページを持っている
     施設が多いので、ネットで施設の設備や活動内容を確認できる。
  • 入所サービスつきの通所支援施設を利用しておく
    大きな障がい者支援施設になると、通所支援サービスと一緒に、短期入所や長期入所のサービスも提供している所が多いので、あらかじめそうゆう施設を利用しておけば、将来的に入所が必要になった場合に相談しやすい。ただし空きがなければ待つのに変わりはない。
チャタロー
チャタロー

ちなみに、妹は入所サービスつきの施設に通っていたので、母が入院して間もなく、家族が誰も見れない日に短期入所を利用していました。長期の入所は空きがなくできませんでしたが、短期入所が利用できたのは助かりました。

  • お子さんと一緒に、見学を
    入所する環境がお子さんにとって安心できる場所かどうか、施設の中でのお子さんの反応をよく見る。環境の変化が苦手なお子さんの場合、玄関の雰囲気一つでも入りたがらないことも…。
チャタロー
チャタロー

今回前編、後編に渡って、障がい者支援施設での暮らしのお話をいたしました。少しでもこれから入所を考えている方のお役に立てましたら嬉しいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

前編はこちらのリンクから読むことが出来ます。施設の概要、利用料、日々どんなことをしているのかを紹介しています↓
障がい者支援施設での暮らし(前編)

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