相性の悪い自閉症の二人

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違う特性の人々
このブログで紹介している内容
  • 常に音を出す特性の自閉症の妹と、その音を苦手とする自閉症の息子が一緒に過ごす時に起こる実際の苦悩と気を付けていることをお話します。
チャタロー
チャタロー

こんにちは、チャタローです。

私には二人の自閉症の家族がいます。一人は中学生の息子、一人は妹です。
この二人が顔を合わせる時、我が家ではちょっと困った状態になります。

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帰りたい妹、帰ってきてほしくない息子

妹は20年ほど前、母の他界を機に障がい者自立支援施設に入所しています。
私は実家暮らしで実の父と旦那と息子の4人で暮らしていて、妹はお盆や正月などに実家へ帰省します。
コロナ禍で三年くらい実家に帰省できず、やっと今年ルールが緩和され、お盆に久々に帰省したのです。

妹からしたら、突然何の前触れもなく帰省が途絶えてしまったわけですから、この三年間どんな気持ちで過ごしていたのかと思うと切なくなります。

久々の家族の再会に喜んでいない人が一人…。息子は妹のことをとても怖がっています。
このコロナ禍は、息子にとっては妹に会わなくていい都合のいい三年だったのかもしれません。
さらに三年の間に息子の心もそれなりに成長したので、余計に妹にたいしての恐怖感を膨らませているように思います。

憂鬱な男の子

妹が帰ってくる予定日がわかると、その日を意識し憂鬱モードに入ってしまいます。
「帰ってくるのかよ…」とブツブツつぶやいて家族にお叱りを受けることも。

妹と息子の詳しい障がいの説明やこれまでの経緯は下のブログに詳しく書いています。↓

息子が妹を嫌う理由

聴覚過敏

妹は常に言葉にならない言葉を繰り返したり、急に大きな声を出したり、テーブルを叩いてリズムをとったり、常に音を出し続けます。聴覚過敏の息子にとってはその音が怖くてたまらないようです。

人におびえる男の子

息子は妹だけではなく、以前デイサービスで一緒だった、妹と同じような感じのお子さんのことも怖がっていました。相手の行動の予測がつきにくいことも恐怖の原因のようです。

聴覚過敏について詳しくはこちらのブログでも紹介しています。↓

叱られるようなことをする

息子は誰かが叱られているのを見るととても不安がります。そしてその矛先は叱っている人ではなく、叱られている側に向きます。

妹は自分の要求が通らない時に急に父を強く叩いたり、威嚇したりします。それを私が「やめなさい!」とつい叱ってしまうので、息子にとっては不安でたまらないのかもしれません。

怒る人

そもそも普段いるメンバー以外が居るのが嫌

息子は生まれてからずっと一緒にいる家族以外の人が家にいるのが嫌なようで、妹もそうですが、お客さんが来ても露骨に早く帰ってほしい態度をとるので、本当にお客さんに申し訳なくなります。

妹やお客さんがいる間は部屋に引きこもって出てきません。逆に帰るとわかると、まるで嬉しいと言わんばかりに急に「さよなら」の挨拶をしに出てくるのです。
失礼なことなので、少しずつでも慣れてほしいと思いますが、コミュニケーションが苦手なのは自閉症のメイン特性なので難しい所です。

自分の殻に閉じこもりたい人

妹は息子に対して一切おかまいなし

妹は息子のことを昔から全く気にしていません。
私が息子を出産してから初めて妹が帰省した時にも、新しいメンバー、しかも赤ちゃんが増えてることに対して、驚くほど何の反応もありませんでした。

問題なし

ただ、父が息子にばかりかまっていると、ちょっとムッとしていたかな?くらいな感じです。

妹が居るときの息子

妹が帰省すると、息子は妹を避けるように部屋にこもって出てきません。
部屋ではひたすら自分の好きなゲームやYouTubeに集中して、現実逃避しています。

完全に引きこもりのまま放置するわけにもいかないので、ご飯の時だけは一緒に食べようと部屋から出しますが、息子は妹を視界に入れるのさえ嫌なようで、目をそらし、さっさと食事を済ませて、逃げるようにまた部屋に引きこもってしまいます。

叱られるが、聞いていない息子

息子があまりに妹を避けるので、父は時々息子を叱ります。
妹が息子に直接何かしているわけではないのに避けるので、父としては妹が可哀相になるのもわかります。
それにこの家は妹にとっても大事な帰れる場所です。私としても複雑な思いです。

ちなみにデイサービスでも、苦手な子が何かする前から、耳を塞いで離れたり、過剰に防御態勢入るので、先生から「まだ何もされていないのにそんな風に避けるのは失礼だよ」と注意されていました。確かにそうですよね。

完全隔離もできないことはないけど…

一時期は妹の帰省の時に旦那と息子だけ、近くにある旦那の実家に泊ってもらうこともしていましたが、この作戦はすぐに廃止しました。

将来的に妹と同居する可能性もゼロではありません。
妹の施設との契約内容で、利用者が万が一長期の入院などの状態になった場合は施設を退所なくてはいけないことになっています。また施設を再度利用したい場合は新規に申し込みすることになりますが、すぐに入所できる保証は全くありません。その時には妹も一緒に暮らすことになる想定をしておかなくてはなりません。

その他にも、もし息子が将来施設に入所するようなことがあれば、色んな障がいの人々と暮らすことになります。その時はある程度譲歩して暮らす他ないので、完全隔離よりは、同じ家の中での部分隔離しておこうと思ったわけです。

無理させすぎは禁物

この状況を果たしてどうするべきか…。

昔の人
昔の人

それくらい何だ!嫌でも一緒にいさせて慣らすしかない!

先に言ってしまえば、この無理やり体当たりで慣れさせようとするやり方はやってはいけません。

これはあくまで私の個人的な見解ですが、私自身を含む昭和世代の人々や、昭和世代の親に育てられたお子さん達は、結構こうゆうスパルタ教育を当たり前に受けてこなかったでしょうか?

スパルタ教育のイメージ

学校でも昔は今より厳しかったですよね。例えば給食では、どうしても嫌いな物でも「残さず食べよう」というスローガンのもと無理やり食べさせられました。学校生活では、過去にクラスメイト数人からしばらくからかわれて辛かったことがあったのですが、先生や親に相談しても「あんだが弱いだけ、気にしすぎ」「もっと強くならないとダメだよ」と取り合ってもらえなかったこともありました。

今の時代では「多様性」という考え方が世界的に浸透し、色んな人がいて当たり前、自分の考えを押し付けて物事を考えてはいけない、相手に寄り添って考えようという思想がどんどん広まりつつありますが、昔型の人間にはあまり浸透していないかな?と思っています。

無理させることで、二次障がいを患うことも…

息子のかかりつけの精神科の先生に相談してみた答えは、やはり「無理はさせないこと」「苦手な人とは距離を置いてあげる」ことが一番の対処策だそうです。

ドクターストップ

体当たりで強引に我慢させようとすれば、うまくいくこともあるかもしれませんが、それ以上に無理することでさらにトラウマになって、鬱や異常行動などの二次障がいが起こるリスクを避けるべきというのが医師の見解です。

家族として子供の将来を思えば思うほど、慣れさせなきゃと焦る気持ちもわかるし、私も最初はその考えの側でした。二次障がいという話を聞いた時に、息子の気持ちや意見に寄り添うやり方に変わりました。

それを周囲からは甘やかしすぎと言われてしまうこともありますが、辛い気持ちを理解して寄り添ってあげることは甘やかしとは違います。

発達障がいのある人の場合は特に、本人が自らの意志で変わりたいと願うこと、変わることでどんないいことがあるのかがきちんと紐づかないと、苦手の克服はなかなか難しいです。

クールダウンできる場所を用意する

クールダウンできる場所

多くの障がい者施設では、だいたいクールダウンするための部屋というのが設けられています。
発達障がいの場合、色んなタイプの障がいの方が一緒に過ごすため、中には相性の悪い人というのも当然出てくるのです。それは決してどちらが悪いというわけではなく、どちらも障がいゆえのことなので、仕方がないのです。

特別支援学級や支援学校(養護学校)でもクールダウンする部屋はあってほしいですが、どこの学校もだいたい予算などの都合上、教室の余裕がなかったりして、クールダウン専用の部屋を用意をしている学校は少ない印象を受けます。

家庭ではどうしょう?一軒家の方や部屋数に余裕がある住いの場合ならさほど悩む心配はないでしょうが、そうではない家庭も結構多いですよね。

我が家は茶の間から廊下を隔てて離れた部屋がひとつしかないので、息子はそこを自分のアジトにして避難している状態です。茶の間のドア、息子の部屋のドア両方を閉めると音はだいぶシャットアウトされます。

距離を保てない場合の工夫

距離を保つのが難しい場合でも、ほんの少しの工夫で恐怖心を和らげることもできます。

聴覚過敏が原因ならイヤーマフをつけてみたり、イヤホンで別の音を聞くことで気をそらせます。
対象者が視界に入ることが不安であれば、例えば食事の場合には、目が合わないような席配置にしてあげたり、一緒に車に乗る時は、一番前の席に座らせてあげるだけでも意外と安心したりします。

イヤーマフ

終わりに

我が家のように正反対の特性をもつ自閉症の家族が複数いる家庭は珍しいのかもしれませんね。
あの人が怖い、一緒にいたくないという気持ちを「それくらい何?たいしたことないでしょ」と自分の価値観だけで決めつけてしまわず、寄り添ってあげる事が大事です。
無理させないよう、焦らず、ゆっくり本人の心の扉が開くのを待ちましょう。

心の鍵
チャタロー
チャタロー

同じような悩みをお持ちの方のお役に立てたら幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!

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